趣味でキックボクシングをやっている人は結構いますが、流石にプロ選手となるとその数は限られます。普通のエンジョイ勢がプロ選手とスパーリングをするとどうなると思いますか?
1.プロキックボクサーについて
プロキックボクサーはボクシングのようにプロライセンスを取得して、、という訳ではないようです。そのジムの代表なりが、プロとして試合を組んだり、プロの興行から声がかかって試合に出てプロキックボクサーとなるようです。
なので、意外にもライセンス制ではないので、所属団体によってはプロだけど試合できないなんて事もあるそうです。
那須川天心と武尊の試合がなかなか試合できないように、所属団体が違うとルールとかも違うので、なかなかややこしい世界のようです。
以前トップアマの選手が、アマトーナメントで上位に入れば「声がかかる」から頑張ると言っていましたので、アマチュアの試合で上位にいることも重要なようです。
そんなある意味過酷な生存競争を生き抜いたプロ選手達のレベルは当然高く、一般人からしてみたらバケモノレベルです。
ある日とある団体のランキング1位の選手がジムに練習に来ていました。
たまたま人が少なかったその日は、アマチュアで試合に出る人が数名いたので、軽くスパーリングをしようという話になりました。
偶然その中に混じってしまった私が感じたプロ選手の凄さをお伝えしたいと思います。
2.プロ選手とのライトスパー
ガチンコのスパーリングではないのですが、軽く当てるだけのマススパーリングを始めたのですが、徐々にペースも打撃の勢いも上がってきて、通常のマスでは考えられないくらいの強さのスパーリングです。
ガチンコのスパーリングではありませんが、結構激しい打ち合いになっています。たまたまレベルの低い人が居なかったことと、試合を控えたアマ選手たちが、結構ガチンコ気味にスパーリング(ライトスパー程度)をしていたのでそれに合わせている感じでした。
そしていよいよ私の番が回ってきました。
正確には軽めのマスは数回行っていましたが、激しい打ち合いをしている現時点ではもはや恐怖に近い感情です。
ちなみにプロ選手は、1回か2回休んだだけで、後はアマ選手や私の相手をしてくれています。
私は意を決して、プロ選手の前に立ちます。
2分のラウンドスタートを告げるタイマーがなりました。
プロ選手のジャブがいきなり飛んできます。ギリギリでパーリング。
「ああ、このレベルでやるのか、、。」
ほとんど絶望に近い感情が湧き上がります。
とりあえずジャブで牽制をしようと左拳を出そうとしたその瞬間に、すっと伸びたプロ選手の腕が私の左拳を抑えます。
「え!?」
と思った瞬間に、左太ももに鈍い痛み。
どうやらローキックを打たれたようです。
本気で蹴られていたら、コレで倒れていたかも知れません。
慌てて離れると、あっと言う間に間合いを詰められます。
「全然容赦がない!!?」
と思った私は、前蹴りも間に合わないので、一旦クリンチに逃げます。試合ならレフェリーが止めるまでこの状態をキープできますが、スパーリングですからすっと離れてすぐ再開です。
そこからはこちらもワンツーとか出すものの、惜しい場面すらなく、プロ選手が不意に蹴りの体勢に入りました。
それを見て、ガードの体勢を取ります。
プロ選手はそのままゆっくりとした動作で蹴りを打ってきます。物凄いゆっくりなモーションで、右のミドルキック。
こちらはカットするも、次の瞬間にはもう左の蹴りの体勢に入っています。
「え!?いつの間に!」
と慌てる私。
カットは間に合わないと判断し、腕でブロック体勢を作ります。
恐らくそれを見た上で、プロ選手がそのままミドルキックを打ってきました。
ガードする私。
でも、その次の瞬間には今度は右のキックの体勢になっています。
「あぶない!」
と慌てる私はそこで気が付きます。
蹴りの間隔が短くなってきている。
コレわざとガードさせてるかも!?
と思うものの、ペースが上がってガードが追いつかなくなる私。
明らかに軽く打っているのに蹴りの威力もそれなりにあるので、こっちはバタつきます。
ガード越しに伝わるスネの骨の硬さ、筋肉の硬さ。
プロ選手がわざと出している単調な攻撃なはずなのに、どんどの余裕がなくなる私。
こちらの攻撃は何一つ当たる気配がない。
打つ手がない、、。とりあえず、近づいてきたら、前蹴りとローキックで牽制するもカットされた上で、攻撃を乱発されるので、どうしょうもない。
何度か当てたローキックは、なにか電信柱でも打ってるんじゃないかという嫌な気分にさせられました。
押し込まれてこかされ、プロ選手は基本的な技しか使っていないのに、こちらはもういっぱいいっぱいでした。
2分終わった時点で、思わず座り込むレベルでバテました。
3.プロキックボクサーは何が凄いの?
では、実際にスパーをしてみ凄いなと感じた部分です。一般的なアマチュアキックボクサーとはこの辺りが違いました。
以下羅列します。
・攻撃がシンプルに重い
・攻撃が素早い
・体(というかパーツが)が硬い
・何故かそこにいる。
・左右の攻撃がとても早い
・わかっているのに何故か避けられない
・時間止められる!?スタンド使いか!?
・コンビネーション時に上下左右のフェイントが入る
・タイミングが全部ずらされる
・離れてもくっついてもどうしょうもない
・無表情すぎる
・息が切れない
・攻撃タイミングがわからない
・スネと肘がとにかく硬い!嫌になる
・攻撃技のタイミングがよまれてる。メンタリストか!?
・ジャブが痛いし、重い
などが一般的なアマチュアボクサーと大きく異なります。
一般的なマチュアキックボクサーとなら、なんとかなる事も、プロ相手では殆ど役に立たないというか、圧倒されっぱなしでした。
更にもう2ラウンドほどやりましたが、とにかく相手の身体のパーツが硬い!という強烈な印象が残っています。
こんなのがゴロゴロいる世界って、、、。
4.終わりに
プロキックボクサーとのスパーリングについてでした。
あれを全力でやっているわけですから、相当な覚悟と気合が必要ですね。
プロとのスパーリングを一言で言うと、すごかった、怖かったという結論に至ります。
仮に私が20代前半とかで必死にプロを目指して練習しても、果たしてこう成れたのかは疑問です。
でも、努力の先にはこんな世界が待っているのかも?と少しだけ垣間見れたのはとても刺激になりました。
面白いですね!
皆様の周りにもプロ選手って居ますか?
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