さて試合を10日前に控えて最後のトレーニングです。
もはやこの辺りになると、通常の団体練習であるクラス練習は行いません。
基本的には個人的に試合に向けての練習に特化します。
私の場合、マススパーリングが基本的な練習ですが、一人でサンドバッグ相手に練習したり、トレーナーに個別に指導を仰いだりします。
人によっては、大して練習もせずに試合に臨みしかも勝ってしまうという天才的な人もいますが、これはアマチュアのレベルの低い中での話です。
プロになってそんな姿勢では絶対に勝てないというのは、プロの練習と心構えを見ると分かります。
残念ながら自分自身そんな実力も、自信もないのでとにかく今やれる事を精一杯やります。
私は今回が初めての試合です。
普段やっているスパーリングと違って、ガチなものなので正直言って心の中は
「不安と恐怖心」
で一杯なのです。
では、その不安と恐怖心は一体どこから来るのでしょうか?
それは一言で言うと「分からないから」なのです。
何がわからないかというと、簡単に言うとこんな感じです。
・相手がわからない。経験不足の化物みたいなのが来たらどうしよう。
・自分の攻撃が通じるかわからない。ジャブすら当たらなかったらどうしよう。
・自分の防御が通用するかわからない。ガードできなかったらどうしよう。
・そもそもどう戦えばいいのかわからない。
・体力が持つかわからない。基本的に体力がない。
・試合の進め方がわからない。
もっとたくさんの分からない事があるのですが、とりあえず上記のが特にわからなかったというのが本音ですね。
だから不安に感じて恐怖に感じます。
勿論、そもそもノックアウトされたくない、怪我をしたくない、負けたくない。という思いがあるからの事です。
まずは相手がわからないですが、これはどうしようもないです。
試合に申し込んだ以上、誰が来るかはわかりません。これはしょうがないです。
誰が出てきてもいいように準備をする以外ありません。
でも、それ以外は今想定した練習ができるのです!
まずは距離感です。
何故に初心者同士の試合だと、グダグダになるのかというとお互いの距離感がわからずにずーっとくっついた状態になる体と思います。
要するにお互い自分の距離で戦おうとした結果ですね。
なので、メリハリを付けるためにも、自分の距離に入り込んだら攻撃、終わったらすぐに離れて距離を取るという距離感の練習をします。
具体的には、ガードしながら直ぐに下がるというだけの事ですが、意識するとしないのとでは大きく違います。自分のターン以外は全部距離さえとってしまえば、休めるし、相手の攻撃に気を使う必要もなくなります。
で、自分の距離になった途端に好きなだけ攻撃をいれてまた逃げれば良いのです。
というのを、練習で取り入れます。ずーっと同じ距離にいない事。
サンドバッグ相手でも近づいて攻撃したら、逃げる。を繰り返しました。
結構リズムができて、しかも休めます。
いい感じになります。
次にそもそもどうやって戦うのかを考えます。
初めての試合なので、何も作戦なく戦えるほど器用ではありません。
やはり作戦が必要です。
作戦は割と単純です。
いろんな人に話を聞いたところ、初心者同士の戦いは、割と「パンチ主体」になりがちだそうです。
なのでポイントを取るためにも重要なのはキックです。
ところがやってみようにもキックはなかなか出せないし当たらないのです。
キックはそもそもパンチに比べてモーションが大きいです。なので、そこを突かれて攻撃をされてしまう可能性があります。
そして、普段の練習でさんざん習ったコンビネーションは、ほとんど使えないというか、相手も攻撃してくる状況であっさりと連打させてくれる事は無いのです。
という事で、今回の作戦は
「短いコンビネーションの終わりにローキック!」
という事を作戦にします。
つまりジャブ・ローだったり、ワンツー・ローだったりと、ミドルキックもハイキックも使わず、タダひたすら「パンチ + ローキック」作戦です。
もはやいろんな技を試してみようではなくて、ローキックで終わるという事だけを考えて、戦うことにします。これが私の今回の「作戦であり心の拠り所」です。
そして次にもう一つ、初心者の試合ならでわの作戦ですね。
押し合いになった場合の対処方法です。
これは押し合いの練習風景です。ちなみに赤いTシャツが私です。
相手は上級者ですが、なんと私よりも10キロ近く軽いにも関わらず、私が押し負けます。
小学生の頃の授業でやった相撲とかで、あまり負けた記憶がなかったのですが、あっという間に押し込まれて体制を崩されてしまいます。
頑張って耐えていると恐ろしく体力を消耗します。
で、この押し込みを練習しつつ、一つ私が使える技がありました。
それは
「押し込めたならば、そのままミドルキックを打つ」攻撃です。
もし押し込めて少しスペースができたならば、間髪入れずにそのままミドルキックを打ち上げます。
こうすることによって相手にプレッシャーをかけて、ミドルを当てることにより相手の体力を奪うことが可能です。
当然見栄えも良くなるので、ポイントも稼げます。
これもまた事前の作戦であり、いつの間にか押し合うというのではなくて、「押し込んでやる!」という最初から決めていけば、ぐっとこの作戦の成功率が上がるのです!
次に練習したのは、防御の練習です。
これは正直かなり役に立ったと思います。
何かと言うと、1分間もしくは2分程度
「相手に本気の攻撃」
をしてもらいます。
こちららからは距離を測るためのジャブを出す程度です。
この練習で分かったことは、
1.意外と防御だけに徹すれば防御できてしまうこと。
2.1分間の攻撃に使用する体力は半端じゃないということ。
まずは体重の軽い女性にお願いして、攻撃をしてもらいました。
女性もガチな人だとやばいのですが、体重の軽さはやはり重要です。
女性のすばやさとケリの速さは、練習になります。
次に一般男性会員さんにもお願いしてみます。
一般会員といってもスパーリングクラスに参加する程の実力はあるので、全くの初心者というわけではありません。
ですが、モーションが大きいのと距離感の詰め方がそれほどうまくないという事で攻撃を予測できます。かなり攻撃をガードすることができました。
そして上級者とトレーナーにも同じくやってもらいます。
上級者やトレーナーは、あっという間に間合いを詰める上に攻撃に連続性があるので、一瞬も気を抜けません。
でも、やはりガードだけという事であれば、なんとか逃げ切れる事がわかりました。
ただし相手の崩し技や強引な攻撃には対応できません。
結構上級者やトレーナーも1分攻撃しっぱなしだと息が切れています。
要するに攻撃を捨てて、防御だけという事であれば、意外と行ける事がわかりました。
この練習をするとかなり自信になります。
ちなみに攻撃する側もまた練習になるので、「いい練習だった」と言ってもらえたりもします。
尚、ヘッドギアなしでは絶対にできない練習です。苦笑
試合前10日の頃の練習ですが、こんなような事をやっていました。
特に「距離感」「防御」「ローキック」の練習は実際の試合に向けて非常に役に立つことになりました。
試合を経験した練習仲間が一気に上達した理由はおそらくこういう事を意識して練習するからなのかなと思います。
緊張感のある練習は実のある練習になりますね。
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