格闘技術研究所では、様々な情報や自らの体験をもとに分析、検証を行い格闘技術の向上に活用します。
今回は華麗な必殺技の一つ
「ハイキック(上段廻し蹴り)」の柔軟性
についてです。
1.ハイキック(上段廻し蹴り)とはなんだ?
相手の顔、首、頭にキックする技術です。
皆さん既にご存知だと思います。
右足、左足両方とも使いますが、いかなる場面でも一撃必殺のダメージを与えられます。
ミドルキックなどよりも難しく、当たれば倒せるとまで言われます。
ハイキックが得意な選手は、やはり実力者が多く、見るものを魅了します。
またキックとしての難易度も高く、打つこと自体が難しいキックです。
2.ハイキックは何故難しいのか?
私のような中年男性にとって、習得が一番難しい技の代表格です。
その理由は以下のものがあります?
①柔軟性の問題
②バランスの問題
③体の使い方の問題
④筋力の問題
これらの問題が、我々素人の格闘技愛好者に立ちはだかるのです。
特によく言われるのは、開脚ができるか否かですね。
要するに①の柔軟性とは、どれくらい重要なのでしょうか?
今回はこの柔軟性について分析、研究してみたいと思います。
小学生などの柔軟性の高い子供やそもそもお姉さん座わりができる女性なども、特に練習しなくてもハイキックが打てたりします。
YouTubeでバレリーナはハイキックを打てるのか?という動画では、いきなりめちゃ綺麗なハイキックを打っていました。
こう考える柔軟性は当たり前のように重要です。
ところがネット上には全く逆の主張もあります。
「ハイキックに柔軟性は不要!」という動画も多くみられます。
実際のところどうなのでしょうか?
どっちが正しいのか??疑問に思いませんか?
3.ハイキックの柔軟性は必要か?
まずは下記の写真を見てください。
緑の線は私が立った時にちょうど相手の顔ある位置です。
なので、構えると線よりやや下が相手の顔の位置になります。
1).色んなハイキックと角度
下の写真、どれくらいの開脚度合いか分かりますか?
①縦に足を上げて、ハイキックの位置まで足を上げます。
②右足のハイキック。的(緑のゴム)の下を蹴ってます
③右足のハイキック。的を捉えています
④右足のハイキック 的のかなり下です
⑤右足で的を捉えています
⑥左足の的を捉えています。
2).色んなハイキックと角度の検証・分析
では上記のハイキック、足の開脚角度はどれほどか分かりますか?
※角度は、写真により異なるので、実際の角度とは異なります
①130度でした。
②130度でした
③130度でした
④105度でした
⑤105度でした
⑥130度でした
4.ハイキックの角度を検証と結論
1)足を上げたらハイキック?
①130度の上に蹴りだした角度
実はこれ、ハイキックでも何でもありません。
単に足を上に振り上げただけで、これは割と誰でもできます。
ハイキックのインパクトでは全く威力がありません。
つまりハイキックではありません。
ですが、これでハイキックの距離感や苦手意識を無くすことができます。
この状態から、下の足を回転させ腰を入れて足の甲や脛をサンドバッグに打ち込めれば立派なハイキックです!
なので、この写真の状態ですとハイキック一歩前の状態ですね。
とりあえず前後に130度ほど開ければ、自分と同じ顔の高さの相手には届く事を覚えておきましょう!
2).ハイキックの届かない理由は??
②と③右足のハイキックについて見てみましょう。
こっちの①と違ってちゃんと足を回転させて、甲や脛で打ってます。
緑の的にぎりぎり届いてないですね。
下の写真は的を捉えています。
ところが、測ってみると両方とも開脚角度は130度!
同じ角度なんです!
では、違いを見てみれば一目瞭然ですね。
青い部分を比べると分かるのですが、私の携帯画像ベースで、上は1.5㎝に対して、下の画像は1cmでした。
これはつまり体がより倒れている事を表します。
同じ130度の角度であっても、倒れている体の角度で当たる位置が違っているのです。
体をより倒せば倒すほど打点は上がります!
3).倒れる角度と上がる足の高さ
上記2つの写真は同じ105度の開脚角度にも拘らず、当たっている位置が異なります。
これは4-2の話と同じですが、体が倒れているかどうかです。
上の写真と、下の写真では実に18度程度の差があります。
この18度の違いが、足の高さに影響する訳です。
ぶっちゃけ私の開脚はこの写真の通りで、105度が限界です。
この105度を如何に高く上げるかは、体を倒すことによって補えるのです!
つまり、105度しか開脚できないなら、
足りない分体を倒してあげるのです!
仮に90度しかあげれない人は、もっと倒してあげればよいですし、130度開脚できるならば、もっと体を起こしてもハイキックが可能なのです!
但し!後ろに倒せば倒すほどに回転の力が使えなくなります。これはつまり威力が出ないのです!
柔軟性が高ければ体は起こしたままで、威力はでます!
やはり柔軟性は大事です!
4).ハイキックを更に工夫する
こちらの写真を見てください。
確かに130度の角度でサンドバッグの的を捉えています。
更なる工夫をする事で、スピードやパワーを生み出すことができます。
下の写真を見て下さい。
膝を先行させて蹴りこんでいます。
水色の線が軸足と膝との関係です。
膝の位置からみると開脚角度は135度でやや開いています。
これは、インパクトタイミングを少し遅らせる事で、威力が上がりパワーが増すのです。タメが作れると言った方がよいでしょうか?
理由は単純で「腰が入る」からですね。
ミドルキック同様に、回転を使ってキックを打つ事でパワーが上がります。
ハイキックも同様です。ハイキックの場合はミドルよりも当てることが難しいので、スピードやキレ、フェイントやコンビネーションなんかも大事になる訳ですね。
4.まとめ
結論から言えば、柔軟性はそうは言っても必要!!
けど、いろんな工夫で
そこまで柔軟性が無くてもなんとか打てる!
というのが、結論です。
強く打つにはやはり柔軟性が必要です!
体の硬い中年の男性がハイキックを打つのは至難の業です。
これはマジです!
私を含め、パンチやミドルの技術はそれなりにあるのにハイキックはまるで打てない人が結構います。
これは柔軟性が無いからだと思っていました。
でも、実際に打ち始めると柔軟性も重要だけど、それだけじゃないなと思うようになりました。
と言って、柔軟性無くても打てる!!というネット動画は、ある程度柔軟ができるからできているだけです。
本当のど素人で、90度も開かない人には絶対無理だと思います!!
そしてハイキックが打てない人と組手やスパーリングをしても大して怖くないのです。
これは絶対的な事実です。
仮に一度もハイキックを使わなかったとしても、使える人の方が絶対嫌です。
私は聞きました、ずーっと練習してたらいつの日にか蹴れるようになると。
ですが、4年間週に2~4回の練習をやっても蹴る事ができませんでした。
あるタイミングから、開脚を毎日やるようにしたのです。
開脚をできるようになれば、ハイキックは打てるのだと!!
ところがそうは成りませんでした。
確かに開脚が進むと、ある程度打てそうな雰囲気は出てきました。
でも、無条件で打てるわけではありませんでした。
そして気が付きました。
ハイキックはやっぱりハイキックの練習をしなきゃだめだと。
ハイキックの練習を始めて数か月、やはり意識が変わると結果が変わってきます。
イメージができるようになると、ハイキックに近い感じになるのです!
「ハイキック(レベル1)!」
ドラクエでいうと、ホイミを覚えた状態です。
これが、ベホイミ、ベホマ、ベホマラー、ベホマズンとレベルアップさせる必要があるのです!!
こういうのがたまらないですよね!
格闘技術研究所では更なる深堀をしていきたいです!
コメント